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2012年2月 3日 (金)

.TPP交渉の本質・・・1.TPPは、「自由をどう制限するか」 の交渉である

最近の国会は、消費税増税一色で、TPPは何処に行ったのという風情ですが、
2月7日(2012年)より日米事前協議が始まるとの報道がされています。

半年後には
日本が態度表明を迫られる時期が確実に来きますので
TPPについての議論を 進めておかねばならない と、思い、

こんなブログで あまり影響力はないことは、十分承知していますが、
マスコミなどで殆ど議論されない視点から
TPPについてお話しさせた頂きます。


最初に、今回の表題をご覧になられて、
TPPは「自由貿易」を目指しているのだから、

「自由をどう制限するか」とはおかしいのではないか?
と、多くの方がお考えなるであろうと推察しています。

物事には裏表がありますので、
通常言われていることの 裏から申し上げた方が、

TPP交渉の本質がよく理解できるからと考え、
おやっと思われる表題をつけさせて頂きました。


「関税を撤廃する」ということを、裏から申し上げると、

関税が「自由に制定できるとの国家主権」を 制限すること
を、意味しています。

「国家主権」は、現在においても本来的には
戦争も含めて すべて自由に何をやっても良い国家固有の権利であり、

それを制限するには、
実力(武力)で屈服させる他はないものなのです。

北方四島や竹島の領土問題を考えて頂ければ、
すぐご理解頂けると思います。


この国家主権の発動の一部として、

貿易面において
各国は、自分の都合の良い様に関税を設定してきました。

ところが、

技術の進歩により、「グローバル化」が進み、
「メガコンペティション」の時代となってきますと、

経済的な単位が国家の中ではおさまらず、
最低でも地域が単位となってきましたので、

国家主権を制限して、
地域単位となった経済圏の運営をスムーズにしなければならなくなり、
TPP交渉のような交渉が必要となってきたのです。

たとえば、

戦国時代の末期、織田信長が楽市楽座を設けたように、
19世紀ドイツが統一するときに、ドイツ国内の関税を撤廃したように

経済単位が拡大すると、流通を妨げ、経済の阻害要因となる関税は
撤廃される運命にあるのです。


上記の歴史状況 を 概観して 一言で言うと、

20世紀末に 世界の歴史が

15世紀末 に
フランスとイングランド で 「国民国家」 が 成立して以来 続いてきた
「国民国家 を 基調とする歴史」が 終了し、

国境の枠 を 超えた「地域連合体(地域共同体)」を 経て
「世界連邦」への 歩み を 始めた のです。


言い換えると、

1990年頃 冷戦(第3次世界大戦)の終了により、

国民国家の枠組みが終了する
500年単位 の「歴史上の大転換」 があって、

「地域連合体(地域共同体)」を経て「世界連邦」へ向かう
数百年単位 の 新たな歴史の第一歩 が 始まり、

従来の価値観 や ものの考え方 が、
大幅に 変更を迫られている「過渡期」が 「現在」なのです。


 (注) この点に関しては、ホームページの次の拙文をご覧下さい。

   1.歴史における現在 *** 国民国家 から 世界連邦へ ***
     http://chuuseishi.la.coocan.jp/000801.htm

   2.ブッシュ の イラク戦争( 「歴史における現在」再論 )
     http://chuuseishi.la.coocan.jp/030830.htm


このような歴史状況の中で、

各国とも 今後形成されるであろう地域連合体(地域共同体)の中で、
有利な地位を得ようと しのぎを削っているのです。

この激烈な競争の中にあって、

日本は、事態の認識すらせずに
のほほんと 漫然と時を過ごしているような感じを受け、
「この様なことでよいのだろうか」とヤキモキしております。


今ひとつ考えておかねばならないことは、

地域共同体の中で自由貿易、自由経済が実現したとしても、

地域共同体の外に対しては、
ブロック経済圏を形成する可能性があることです。


大きな歴史の流れとしては、
地域共同体同士の自由貿易、自由経済が実現すると思いますが、

短中期的には、

地域共同体がブロック経済圏として、
地域共同体の外に対しては排他的態度をとる可能性がありますので、
その点について考慮せねばならないと思います。


以上の総論的な認識に基づいて考えていくと、

今後の日本の進むべき方向についての議論の所在について、
2つの点が浮かび上がってきます。


1.日本はどの地域連合体(地域共同体)に組すればよいのだろうか。

  先ほど、「TPPみたいな交渉」と書かせて頂きましたが、
  日本が、どの地域連合体(地域共同体)に組するかを
  慎重に議論して決断しなければならないと思います。

  というのは、
  日本の選択肢として、大きく2つの方向があると思われるからです。

  一つは、「環太平洋」(今回のTPP)であり
  もう一つは、「アジア」(中国、ASEAN、インドなど)です。

  日本は、地政学的に2つの境界に位置していて、
  どちらとも仲良くお付き合いしていかなければなりません。

  今回アメリカよりTPPに加入しろと圧力をかけられて、
  議論もナシに加入申請した民主党のやり方は、

  「国益」にかなうかどうかの検証もナシに、
  日本の方向性を定める、誠に危なっかしい決断だと思います。

  「環太平洋」に組すると、
  「アジア」との関係に支障をきたしますし、

  「アジア」に組すると、
  今までの最大のパートナーだったアメリカとの関係に
  支障をきたします。


  現時点では、

  「環太平洋」と「アジア」の両方を包含した
  「地域連合体(地域共同体)」を形成するのは不可能
  と、言っても良い状況ですので、

  可能になるまで
  もう少し歴史の歩みが進んで、環境整備が整うのを待つことが
  肝要ではないでしょうか。

  それまでは、
  必要に応じて2国間のFTAを締結して、個別に対処 していくのが
  よろしいのではと思います。


  「歴史の歩み」を待つ もう一つの理由は

  主要国である「アメリカ」と「中国」が、現時点では
  共に地域連合体(地域共同体)のパートナーとしては欠陥を有する国だ
  と、いうことがあります。

  アメリカについては、
  次回 稿を改めて お話しさせて頂きますので

  ここでは、中国について一言申し上げさせて頂きます。


  中国は、ご承知の通り マルクス主義の社会主義国家で、
  現在の歴史状況に対する認識もなく

  単に19世紀的な帝国主義を未だに保持して、
  周辺諸国に対して
  武力を使ってでも 勢力を拡大し、支配しようとしている国です。

  彼らの政治・経済のシステムが、
  普通の国家に変容するのを待たなければ、
  地域連合体(地域共同体)のパートナーにはなり得ない国であり

  時間をかけて 彼らの精神的な成熟、変容を待たなければならないだろう
  と、思います。



2.国家主権の制限を何処まで許容するか


  次に議論すべき問題は、

  今回のTPP交渉や FTAの交渉する際に
  我が国として、何処まで国家主権の制限を許容するかについての
  議論を深めておかねばなりません。


  地域連合体(地域共同体)に関する交渉は、
  国家の主権をどの様に制限していくか、

  言いかえると、
  国家主権を如何に地域連合体(地域共同体)に委譲していくか、
  の交渉ですから、

  何を委譲して、何を委譲拒否するのか、
  また、
  相手国に 何を要求するのか、

  を、事前に良く検討し、
  国内のコンセンサスを得ておかねばならないでしょう。


  現状の日本は、
  すぐにコメや畜産農産物の自由化の話になってしまい、

  しかも、
  いつまで経っても同じ主張をお互いに述べあうだけで
  建設的な議論をせず、

  他の点についての議論をほったらかして、時間切れになってしまうことが、
  大きな問題ではないでしょうか。


  表面に現れない 裏方の官僚の皆さんが、
  実は、こっそりと策を練っておられることを願っています。


  TPP交渉については、多方面にわたっての交渉のようで
  全てにおいて、日本の主張を通すことは困難でしょう。

  ですから、
  焦点を絞って、日本が死守する点は何か、
  交渉前にじっくり検討しておくことが必要だと思います。


  定性的ではありますが、
  気になる点を3つ 申し上げさせて頂きます。


  ① アメリカの本当の狙いは、
    農業ではなく、「非関税障壁の撤廃」だと思います。


    アメリカの要求を全て拒否することは不可能ですので、

    だからこそ、
    絶対に日本が守らねばならないことを
    最初からはっきりしておかねばならないと思います。

    例えば、
    日本人の健康に関する点は、これにあてはまるでしょう。

    また、
    日本の「資格試験を英語でしろ」みたいな、

    それを認めれても、弊害ばかりで 意味のない要求を
    アメリカが押しつけてきたら、断固拒否すべきです。

    この点、最近 介護士の試験で、
    試験問題で難しい漢字にふりがなやアルファベットをふしていると
    報道されていることに懸念を持っています。

    漢字を知らない人が、
    この様な助け船のある試験で合格したとしても、

    実際の現場では、
    漢字にふりがなやアルファベットはふられていませんから、

    その漢字が 何を意味するか分からず、
    場合によっては命に関係する事態が生じるかも知れません。


    勿論、漢字はなるべく易しくすべきですが、
 

    外国人が受験するからといって、
    現場で100% 役に立つ能力のない人を
    合格させるのは、問題だろうと思います。

    この介護士の試験の延長線上に、

    先ほど申し上げた
    「英語で司法試験や公認会計士、医者等の資格試験をするように」
    との要求がありますので、敢えてここで申し上げておきます。


  ② 日本から要求すべきものは、遠慮なく要求すべきでしょう。

    アメリカは、輸入に関して全て自由貿易をしているわけではありません。

    例えば、
    古くは繊維について 日本に自主規制を求めてきました。
    自動車についても、ローカルコンテンツを要求しています。  

    このような自由貿易の観点から、
    今まで妥協、屈服させられてきた項目についても
    アメリカに要求すべきだと思います。


  ③ 国際貿易に関する基本的な交渉ですから、
    国際貿易に歪みをもたらしている問題も、俎上に挙げるべきです。


    私は、我が国にとって最大の問題は、
    中国や韓国の為替レートの是正の問題だと思います。

    この問題を解決セズして、公平で正大な国際貿易の拡大は不可能です。

    この点、
    今回の交渉の場で、どの様な仕組みを構築すれば良いのか、
    アメリカとの2国間交渉と並行して、議論していくべきでしょう。



次回は、アメリカが、

  1.「自由」の実現は不可能であることを、分かっていないこと
  2.「自由」とは 自分の要求を力で押し通すことだ

と、思い込んでいる点について
アメリカとヨーロッパの歴史を比較しながら お話しさせて頂きます。


    < TPP 関連 の ブログ >

    野田首相 TPP参加表明で、ちょっと思い浮かんだ 幾つかの事柄
    http://hh05.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-36bf.html  

    野田首相の二枚舌?
    http://hh05.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-51f4.html

    TPP交渉の本質 (今回)
    ・・・1.TPPは、「自由をどう制限するか」 の交渉である
    http://hh05.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-5437.html

     TPP交渉の本質
    ・・・2.「自由とは何か」を理解していない相手との交渉である  
    http://hh05.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-e607.html

 

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